漆下地とは塗りに入る前に欠損を補強したり肌を整える為に使う、建築で言う所のセメントみたいなものです、錆やコクソもこの一部ですが今回は「地の粉」について説明していきます。
地の粉とは、各漆産地で漆の下地として水で練ったものや糊と練ったものを生漆に混ぜて使うもので、土や砂、珪藻土など色んな種類があります。
金継ぎ教室でつかっているM地の粉という謎の粉は、輪島で使われている輪島地の粉という珪藻土を蒸し焼きしたものを模倣して作ったものです、輪島が地の粉を門外不出のものとしたので輪島塗組合の方しか買えなくなったんです。
錆漆(漆下地)
錆漆とは漆と砥の粉を混ぜ合わせて滑らかなペースト状に練り合わせ、主に荒い肌を整えたり目止め、角を立てたり少々の凹みを埋めたりと万能な漆下地です。
砥の粉とは何かというと、京都の山科(やましな)で製造加工されたものです、山科の地層を粉砕し*水樋して荒さを分けたり成分によって赤砥、黄砥、白砥といった用途に分けたり、荒いものを地の粉、細かいものを砥の粉といいます。
「水樋」→粒子を水の入った器に入れ、撹拌した後に少々時間をおくことで粗いものは下に溜まり、細かいものは上に残ります。、それを上水と下水で分けたりして、水樋を何回もしたり、併用して細かい網で濾したりすることで細かく均一な粒子を得る事ができる古典的な方法です。
日本画の岩絵具や磁土の荒さを分けるのにも使われます。
・荒い漆下地を埋めて整える錆漆を「化粧錆」
・ちいさな凹みを埋める為に「繕い(つくろい)錆」「追い錆」
・非常に微妙な小さな凹みを埋める「呂色(ろいろ)錆」
・長い溝などを埋める「引き錆」
・お椀の縁などに付ける、漆の多い錆「括り(くくり)錆」
・顔料を混ぜて色をつけた錆「色(彩)錆」
・木の*導管を埋める(目止め)のに、漆分が少なく肉痩せのしにくい錆。
輪島だと若干米糊を混ぜる場合も有ります。「ハチ錆」etc
*「導管」→木材は顕微鏡で見た時に長い繊維が束になっているような構造になっていて、その繊維はストローのように空洞になっているのです。
これを導管と言います、木の血管という方もいます。
樹木によってはこの導管が大きい(荒い)ものがあります(ケヤキなど)が施行の際に荒い導管を埋める工程を(目止め)といいます、わざと埋めない場合もありますが、最終的にどんな仕上げにしたいのかによります。
↑用途にあわせて配合しますが、一重に錆漆でも大変な苦労はしないのではないかと思います。参考程度に。